第8章 病み上がりにDカップ*
風邪の時は安静第一。
伯斗さんを警戒して私は三日の有給を取っていたが、二日目には琥牙は起き上がってお粥を口にしていた。
「これなら全然食べれる。 里で出されてた生の内蔵は食べると気持ちが悪くなって。 治ったあとはたまに肋浮いてたよ」
でしょうね。
「真弥どの。 治癒の技術がおありで? 魔術などの」
無いよ。
そうして三日目に琥牙はほぼいつも通りの体に戻った。
「こんな早くに体調戻ったの、初めて」
琥牙の驚いたみたいなスッキリ顔。
軽く体を動かして素早くシャワーを浴びてから、煮魚とお浸しといった軽い食事をぱくぱくと食べている。
「これは驚きましたな……」
「真弥、すげぇや!!」
伯斗さんは畏怖の、雪牙くんは尊敬の眼差しでそれぞれ私を見ている。
雪牙くんがなぜかうちの夕食に便乗してがつがつ食べてるがそれはまあいい。
もしかして、琥牙の成長が遅いとか云々ってのもこれのせいじゃないの?
病気の時ってものすごく体力奪われるし。
それはさておきこの際気になっていた事を訊いてみる。
「あのさ、琥牙のお母さんってどういう人?」
「母ちゃんは兄ちゃんを川の中で産んだんだよ!」
「は?」
「琥牙様の出産の時に丁度周りに人が居らず、準備も無かったために母上様は自ら近くの河原に飛び込んでおひとりで琥牙様をお産みになったのですよ」
「オレを産んだ母ちゃんは早くに死んじまったんだけど、今の母ちゃんは狼よりもつええんだ。 な!」
「病の際も精神を鍛えるいい機会だと自ら滝に打たれ槍を手に持ち、毎日の鍛錬を欠かしません」