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オオカミ少年とおねえさん

第42章 琥牙くん、上京



***
警戒心が無い。

どちらかというと好意は伝わる。

とはいえ、こちらに発情してるわけでもない。

ファミリーレストランでご飯をご馳走になりながら、おれは相手を観察していた。

むしろ話し口調から、明らかに子供扱いされてるのが分かる。
単に子供が好きなのかな。

それならそういうことにしておこう、なぜだかそう思った。


「毎日大変だよね。 電車通学なんて。 危ないから気を付けるんだよ」


自分をはるか棚に上げて、そんなことを言う。


「ね、お酒飲んでいい?」

「うん?」

「ありがと。 私ばっかりごめんね。 仕事上がりのビールって、至福なんだよね!」


おれは子供設定じゃないのかな?


空腹に任せてがつがつ食べてるのをニコニコしながら、こちらを見ている。
それで、自分のお皿が気になるのかな。おれはそう思い当たった。


「ポテトフライ要る?」

「要らない、太るし!」

「?」


鈍いだけかと思うと、YesNoがハッキリしてる。

子供でも下に見ない。


それにしても。

綺麗な人だと思う。
周りの人間と較べても抜きん出てスタイルが良くて、まずそこに目がいくけど。
最初印象的に感じた目とか、細くて長い指とか小さな白い耳とか、一つ一つのパーツが。
大っきい目が笑うと無くなって、彼女は大体いつも楽しそうだ。

自分より背の高いこの人が、むしろかわいいと感じた。



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