第40章 コタツから聞こえる愛しい日常
「でもあたしは中学入るまでは、里で過ごしたかったのにな。 雪牙くんやお婆ちゃんもいるし。 パパが居なくっても大丈夫なの?」
「確かに雪牙様も仮とはいえ、一族の長として多忙なのですよね。 本日もお父様が手伝いに行っていますが」
「フーン……あたしは難しいことはよくわかんないけど。 パパは除いて、雪牙くんよりイケメンって、あたしの学校にいないんだもん」
「イケ……? それはよく分かりませんが。 お父様と保どのの働きで、我らの里も大きくなりました。 警備なども人狼が増えたお陰で交代制になり、家族で暮らせる機会が増えたのは良いことですがね」
「だから伯斗もこっちに来たのよね!」
「………そもそも我々の世界での、年寄りの役目は子守りですから。 そんな愛加様も、我らの里では前代未聞の女性の人姿の人狼。 いつなんの変化があるか分かりませんし。 まあ、朱璃様の身辺も、今や私の代わりに浩二どのが守って下さってますしね」
「浩二叔父さんも可哀想よね……」
「なにがですか?」
「なんでもない。 それで今も、ママが安心して寝こけちゃってるわけね」
「お母様は慣れぬ仕事で疲れている様子。 そっとしておいてあげましょう」
「そうだね、ふふっ。 でもあたし、知ってるんだから」
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