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オオカミ少年とおねえさん

第39章 デートでお給料二週間分




お昼も過ぎてちょっと時間をずらし、一応館内のフードコートに立ち寄ってみた。
今朝は早かったし、匂いに惹かれてちょっと小腹が空いたような気もしたから。


「割と高いね? 焼きそば500円だって」


遠目でメニューを眺めながら、琥牙がそう言ってくる。


「それはこんな場所だからじゃないの? ね、私たこ焼き食べたいな」

「少しだけだよ。 夕食はちゃんとしたレストラン行くんだから」


焼きそばなんて、家で作ったら原価200円位で3人前出来るのにね。 お財布を出しながら、そんな所帯臭いことを言ってくる彼だが仕様がないかもしれない。

うちで家計管理をしてるのは、実は琥牙である。


当初、家賃と光熱費は彼、その他諸々は私としていたが、買い置きを忘れて好きに物を買う私を見かねて、日用品などの買い物も琥牙が請け負うことになった。

月に決まった額を渡すだけで、色んなものが無駄なく買い揃えてあり、冷凍庫にはラップに小分けした肉などがきちんと並んでいる生活はとても快適だ。


「でも豚バラって案外高いんだよね。 専門店って高そうに見えるけど、肩の切れ端とか、たまにグラム100円切ってたりするとテンション上がる」

「そ、そうだね」


家のPCの検索履歴なんて、こないだは『重曹』『クエン酸』『換気扇』『酸性』みたいなワードがズラリと並んでいて、彼がその日に何をしていたかが分かって泣きたくなるときがある。


『狼らしくないよね』


そう二ノ宮くんが言ってたけど、それは人臭いとか所帯臭いからというより、彼のそんな順応性の高さによるものだろう。

伯斗さんが心配して、琥牙も自信ないなんて言ってたけど、私は彼が里でリーダー業をすることに関しては、あまり心配していなかったりする。

別に私が絡まなくたって、元々実力はあるんだろうし雪牙くんなんて頼もしい弟もいるし。



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