第38章 おねだりは露天風呂で*
「は……はい」
続き……って。
そんなことよりも、浴槽のへりにもたれかかり、私は惚けて細い息をついていた。
一方琥牙は物足りなそうな顔で、極力私から目を逸らして自制してる……ように見える。
私ばかり気持ちよくなって、少し気の毒かもしれない。
「………ね。 みんな、なに……話してるの?」
里の内部……正しくは地下から。 どっと笑いが起こり、一際宴もたけなわな様子だ。
そんな彼らをそっちのけで、私あんなことしちゃったんだ。 今更のようにそんな身勝手な羞恥心に襲われてしまった。
それを誤魔化すようにした質問だった。
「………筋肉」
ボソッと琥牙が口にして、一瞬聞き間違えかと耳を凝らす。
「え?」
「やっぱり筋肉が一番大事だと浩二くんが言ってる」
「…………」
「然りと母さんが同意してる」
「…………」
「……雪牙と保くんがやっぱりそうだよなって」
「……伯斗さんは……」
「それは否めません」
「そ、そうなの」
「てな話を、延々ループしてる」
「…………」
聞くんじゃなかった。
筋肉だけであんなに盛り上がれるものなんだわ。