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オオカミ少年とおねえさん

第35章 彼と初めての亀裂



「桜井さん、鼻に泡ついてる」

「えっ……? あっ…染みるっ」

「泡だらけの手で顔こすってどーすんの。 待ってシャワー」


ぎゅっと目をつぶってる私の背後で二ノ宮くんがごそごそしてる気配がした。


「痛いよ。 ちょっとそれくすぐった……きゃっ?」

「さすがにコントロール効かないねー」

「やだあ。 太腿までビショビショだよもう」


ガチャ。
バスルームの扉が開くと共に、湯気が急速に逃げてって、数日ぶりに琥牙が顔を覗かせた。


「あっ。 お帰り!」

「会話だけ聞くとちょっと際どいんだけどね。 ノリがいわゆる女子会?ってやつだよね。 見ると更に変な絵だし」


若干呆れたみたいにそう言って、お邪魔してます。 遠慮がちに言う二ノ宮くんに彼が手を振る。


「その辺にいた伯斗からも話は聞いてるし、全然構わないよ。 真弥までずぶ濡れじゃない。 お茶入れとくから、風邪ひかないうちにあがりなよ」


琥牙がまた扉を閉めた後に、二ノ宮くんと顔を見合せた。
とりあえず、一通り体を洗ったので泡を流し始める。


「びっくりした。 また怒られるかと思っちゃった」

「ん? なんでさ」

「琥牙が恐ろしくヤキモチ焼きだからだよ」

「あー。 それはないよ。 オレらみたいな雄がどこでそういうスイッチ入るかとゆーと、相手を雌、というか。 生殖の対象として見てるかどうかなんだよね。 好きか嫌いかに関わらず」

「そんなもんなの?」

「うん。 だからそやって下着透けてても、なんとも思わないオレは安全って琥牙さんは認識してるわけ」


ふむふむ。
だから一応は反応してた雪牙くんにヤキモチ焼いたわけね。

その後再び二ノ宮くんに人になってもらった後で、銘々ドライヤーで乾かしたり私は体を拭いたりして、まだ完治してない彼の肩から脇腹に包帯を巻き直してから私たちはダイニングに戻った。


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