第33章 不倫→バトル→なんで恋?
───────二ノ宮くん曰く。
まず、人狼がイイヤツっか、正義の味方だと彼に知ってもらうんだよ。
「正義て。 でも、どうやって?」
オレの知り合いの里の狼二匹っくらいに声掛けとくからさ、目立たない場所でワザと浩二くんと桜井さんを襲ってもらう。
もちろん、脅す程度でさ。
浩二くんは確かに強いけど、それはあくまで人間基準であって、所詮オレたちには敵わない。
彼の性格なら、どうせ桜井さんを庇うだろ?
で、絶対絶命の時にオレが登場するわけ。
そしてやがて彼との信頼を築けたオレが、然るべき時に正体を明かす。
その時に琥牙さんのこともね。
「ええええ……そんなベタな。 で、バラしちゃうの?」
呆れ気味半分心配げに言う私に、ソファ席の向かい側でこくこくと紅茶を飲みながら二、三度二ノ宮くんが頷いてみせる。
「あーゆータイプは心配ない。 見掛けにこだわる子じゃないし、何より義理を重んじる」
いや、見掛けにこだわるってレベルかね?
「まー、こんくらいベタなのがいんだって。 現実に事件なんか起こりっこないんだし、インパクトとしてはじゅーぶんじゅーぶん」
確かに浩二は脳筋だけども。
それでも私にとってマイナスは無いんだし、あわよくば浩二の理解を得て、琥牙のことも見直してくれるんなら。
ここは二ノ宮くんのアイデアに乗ってみよう、私はそんなことを思ったのだった。