第33章 不倫→バトル→なんで恋?
パンッパンッパンッと性交真っ只中の音が、断続的にこちらの部屋にまで響いてくる。
巨根は音もでかいのだろうか?
供牙様とどっちが、って、私もなにを呑気に。
「うーん………」
しかし私、今後あの課長の顔まともに見れる自信ないな。
こんなのはいつもなら赤面もののアワアワ状況だろうけれども、嫌ってほどの倫理観に押され、私は至極冷静だった。
『あううっ!! ダメよっ、イクイクっ…イっくう!』
のちに切羽詰まったような高い声……それが止んでしんとしたあと、小声で話を始めたようだ。
『課長休んでたら? 先にオレ出るね』
その間約4分。
ちょっと早いよ? 二ノ宮くん。
さておき………今外に出たら、彼を捕まえられるな、などと私は考えた。
それでガチャリと隣の扉が開いた音が聞こえ、私も後に続こうとドアノブに手をかけたとき、それがぐるっと反対に回る。
開いたドアの隙間から、鼻と口に人差し指を当てた二ノ宮くんがこそっと、こちら側の部屋に入ってきた。
彼に続いてブラインドの閉まっている、少しだけ明るい窓際に寄った私は、呆れた顔をしていたと思う。
「何やってるの?」
「そっちこそ覗きみたいな真似。 オレを誤魔化せるわけないっしょ。 どういう風の吹き回し?」
そんなこと言われたって、こっちだってあんなの聞きたくなかったわよ。
軽く首を傾げている今の彼の表情に、気まずそうな様子はなかった。
「知人がこんな時間にあんな場所入ってったら気になるよ」
パッと見、いつもの二ノ宮くんでホッとした。
ガチ気合い入った不倫だったら洒落になんないもの。