第33章 不倫→バトル→なんで恋?
「……まじか」
思わず声に出して、呟いてしまった。
驚きで満たされた脳内に、ぐるぐると疑問が駆け巡る。
彼が人間の女性としてるとか、人事課長って確か子持ちでもう40歳とか、いやその前にここ会社なんだけども、とか。
『アア……っすごぉいッっ…保くんン、んハあっ…』
私と壁一枚挟んだ、すぐ向こうで事を致している様子。
………と、いうかそれよりも。
知ってる人のこういうのって、きっっつ。
立ってるうちになんとも言えず気分が悪くなり、一旦出直そうかと思ったら。
『待って』
壁越しに、突然彼に呼び止められたみたいで驚いて、踏み出した足が止まる。
なあに? いきなり。 などという課長の声も聞こえる。
『オレもいくから待って』
フフっ、と軽く笑う。 これは向こうの会話?
『…ンひぃっ!!』
『静かに』
『だッてぇ…そんな、いきなり…おっき過ぎいッ……あっ、あっうあっあうッ 激しいのぉっ!』
『ほんっと課長スキモノだねー。 バレても知らないよ』
『そしたら…困るのはたも……んひあっ!! 子宮う、壊れひゃうぅぅうっっ!!!』
のめり込んで乱れる彼女とは裏腹に、むしろいつもより、どこか冷めた二ノ宮くんの声音だった。
『壊れたほーがいんじゃない? 子供三人も産めばじゅーぶんデショ』