• テキストサイズ

オオカミ少年とおねえさん

第32章 Plan - Do



長兄。 ハーフの人狼、血統もだろうか。 それらに含まれた琥牙の高い霊力が、あの鋭敏な感覚や身体能力にも繋がるということだろうか。


「人狼の力の源であり、この月の光に左右される。 私が今補っているのも使い過ぎた霊力を」

「あっ! 卓さん」


話の最中で、彼のことを明後日の方向から唐突に思い出した。


「……なんだ、いきなり大声を出すな。 卓……? 私が体を借りていたあの男か?」


供牙様が居なくなってからパワーアップしたというあの人のことを。

供牙様の使いすぎた霊力、その行方はもしかして?


「実はあの人が、里でよからぬ事をしてるという噂があるんです」

「ほう? 私は本体の方には全く介入はしていないから、あの男の本性までは分からぬが」

「供牙様の影響で強くなった、とか? そんなことってあります?」


琥牙が牙汪を取り込んだように。


そうはいっても、供牙様自身もその辺りには経験がないせいか、断定的な言い方を避け、一言一言自分の考えを小さく区切るように私に話してくれる。


「それはどうか……もしもそうあっても、おそらく一時的にだと思うが。 それもさっき言った私の霊力の残留かな。 だがあれ位なら効力を発揮するのは、同じくその恩恵のある我らの里に限ろう」


文節の間に、人と話すには若干長い沈黙があり、彼の声と相まってまるで唄でも諳んでるみたいに聞こえる。


「………里…」



/ 506ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp