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オオカミ少年とおねえさん

第32章 Plan - Do




「まあ、元々弱い個体では決して無いから、敵に回ると少しばかり手こずるかも知れんかな……真弥?」


力の抜けかけた私の背中を、彼の大きな手のひらが支えている。


「無防備に眠りおって。 これでは性徴云々の前に琥牙の気苦労も分かろうというものだ」


ほのかに綻びるような声色のあとで、額から前髪を指先で丁寧に梳かれている感触がした。


「真弥。 琥牙はお前を大切にしようとするあまりに曇っているのかもしれんが、お前は聡い。 散漫な所はあると言え、本来の両性の姿……男の冷静さと女の鋭さを兼ね備え、そしてまた、高い霊力を併せ持つ長子でもある。 お前ほどあれの伴侶に適する女は滅多に居るまい」



なにかあればまた朱璃を頼って私を呼べ。


─────────自らの心のままに動くがいい




****
翌朝、まだ早朝の気配がする薄明るい寝室で、ぱかっと目覚めた私は、じつに爽快な気分だった。

ありがとう、供牙様。

いつも必要な分だけ、私の背中を押してくれる。
琥牙が不安な時はあんな風に私が傍にいてあげたい。

私の人生にいくつにも連なるPDCAの、それが今の私の最終目標。

供牙様のあの底無しの包容力を、少しでも見習わなくっちゃ。


最後の方、うろ覚えだけど。

供牙様の気持ちはとても有難い。 でも、今回は体を休めている供牙様の力を借りるわけにはいかない。

一つひとつ物事を整理をする。
真実を確かめる。

まず私がやるべき事は。


「──────よし、仕事頑張るぞ!」


そう声に出して意気揚々とベッドを出たのだった。





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