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オオカミ少年とおねえさん

第32章 Plan - Do



しばらく考え込んでいる私を伯斗さんが真剣そうに見詰めていたが、やがてふっと小さく息を吐き、脚を伸ばして伸びをした。


「しかし、どうしたものでしょう。 如何せん琥牙様はお優しすぎます。 いくらあの卓とかいう叔父が強かろうと、琥牙様には適うはずが無いのです」


それを里の者にも知らしめなければいけないのですが、とてもあのような性分では。

そう口にして、半ば諦めたように足元の床に目を投げる。
小さな頃から琥牙を知り尽くしている伯斗さんにすれば、それはおそらく難問なのだろう。


「確かに兄ちゃんは優しいけどさ。 真弥のことになると別人だよな。 そういう時も、さっきのあんな感じだったらいいのにな?」

「………そう言われてみれば、そうですなあ」


目の前の一人と一匹がいっそ床に伏せてくつろぎ始める。

それはどうだろ?
ヤキモチモードのあんなのが素だったら、ただの情緒不安定な横暴野郎じゃないだろうか。

繊細な私の神経がすり減っちゃいそう。
そんな想像をして首を横に振りつつ、私は彼らに向けて改めて居住まいを正した。


「伯斗さん。 私にも協力させて下さい」


そう告げると、雪牙くんが床に肘をつきながらプラプラ遊ばせていた足先を止め、青い目を丸くして顔を上げた。


「ダメだ。 こんなのは男の仕事だぜ。 真弥、前にもオレらに巻き込まれてイヤな目にあってんじゃねえか」


一方伯斗さんは両耳の先を手前に向けて、話を聞いてくれる仕草を見せてくれた。


「協力、というと?」

「えっと……私は二ノ宮くんと同じ会社だから。 それとなく彼を探るとか、他にも」


「駄目に決まってるでしょ」


その聞きなれた声………だが、独特の硬質なトーンに私たち三人はビクッと肩を震わせた。




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