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オオカミ少年とおねえさん

第32章 Plan - Do



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そのまま静かに寝室に引きこもってしまった琥牙を隔て、私たちはキッチンで輪になってひそひそと話を続けた。

伯斗さんは座って、私と雪牙くんは膝を抱えて。


「成長はしたとはいえ、琥牙様は時々あのように弱気になられてしまうのですよ。 それにしても、よくよく考えると真弥どののいう通りです。 琥牙様のあの穏やかな気質は朱璃様に似たのでしょうなあ」

「朱璃様、ですか?」


伯斗さんのその言葉は意外だった。
逞しくって、あそこを守るためなら何をもっても辞さない、そんな女性なのに。

私がそう言うと彼が静かに首を振る。


「それは違いますよ。 朱璃様が……今は亡き琥牙様のお父上と結婚された当時はとてもおっとりとした、争いごとなどとはまるで無縁な様子の娘御でしたから。 逆に先代の方は長に相応しく、とても厳しい方でしたが」


それであの外見だったら、さぞ可愛らしい人だったんだろう。
そんな人がどうやって彼らの元に嫁いだのか。

なんとなく興味が沸いて尋ねてみた。


「朱璃様……琥牙のご両親は、普通に出会って恋に落ちたのですか?」

「そうですね。 当時私は先代の従者でした。 人の世界に降り立った時に、偶然に。 ……ちょうど今の、琥牙様と真弥どののように」


へえ!と、雪牙くんが床に両手をついて身を乗り出してきた。
つられて私も姿勢を低くし耳を傾ける。

熱烈な恋愛結婚ということだろうか。




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