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オオカミ少年とおねえさん

第32章 Plan - Do




「だって琥牙ってまだそんな見た目も若くって。 卓さんって、逞しくていかにも強そうだし、自営やってるだけあってリーダーシップっていうの? なんだか余裕ありそうだし。 狼ってそういうのが大事なんでしょ?」


今晩の二人を思い出すも、お互いに過度な緊張感や殺気立ったものなんて全くなかった。


「 二ノ宮くんに対しても、琥牙は今晩も手心加えてたよね。 結局…あ、でも、私的には優しい琥牙が」


そうなのか? というような雪牙くんの目での問いに、ふいと琥牙が視線を逸らす。


「………だよね」


こくり。 そう頷かれて、うん? と私もそれを笑顔で返すと、そそそそと琥牙が部屋の隅に離れてベランダに寄る。


「やっぱり向いてないんだよ、おれには」


ん?

ソファのクッションを抱え、窓辺に向けて遠い目をし出す彼を見て、その後別の方向から刺すような視線を感じた。


「どうしたの、琥……」
「真弥どの。 後ほどちょっとお話が」


そのいつもの礼儀正しく柔らかい話し方とは裏腹に、鼻先に微かに皺を寄せた有無を言わせぬ表情で、私の話を遮った伯斗さん。

なにか悪いことでも言ったのかなあと思い雪牙くんの方を見ると、彼は肩を竦め、またぼんやりとする兄を見守り始めた。




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