第32章 Plan - Do
彼らの里の採掘場、というと。
そこへは里でも出入り出来るものは少ないと聞いたことがある。
ゼロが5つも6つもならぶ、日本では珍しい鉱石が採れる場所。
切り出したり加工する前に、そこで充分乾燥させる必要があるらしい。
外部の匂い。
泥棒じゃなくっても、里の存在が不用意に知られてるってことかな?
それってあんまりよくないんじゃないの。
そして伯斗さん曰く、最近迎えた新たな仲間。
加えて分家、というと。
頬に当てた指をむに、と上にあげて彼らを見回す。
「それって、二ノ宮くんたちのこと?」
そう言うと、琥牙がゆっくりと頷きを返した。
「知らないフリして叔父の……卓さんの方にちょっと近付いてみたんだけど。 仕事で使ってる車やなんかに、似た匂いがあったんだよね」
ああ、琥牙が卓さんの所でいきなりアルバイトなんて始めたのはそういうわけか。
「オレも兄ちゃんがいない時は奴のこと監視してんだよな。 でもさ、あのデカい方、隙が無いっつーか、なんっか前とは違う。 あの里は恵まれた土地だからさ。 今までもちょっとした小競り合いも無かったわけじゃねえけど、今回は相手が悪ぃよな」
そして私が卓さんと会った時の、あの茂みの鳥の正体は雪牙くんだったのかな?
でも、確かに卓さんの雰囲気がどこかおかしかったのは私も感じたけど、その言い分だけじゃ何ともいえないんじゃないの?
単に採掘場で働く人たちと仲良くなって、どこか遊びに行ったとか。
日頃付け回されてれば、警戒もするだろうし。
「うーん……なんとなく、言いたいことは分かるけど」
そうは言っても、私は彼らみたいに調べてるわけではないし。
憶測で反論することでもないよね。