第31章 役立たずな言葉と饒舌な体*
愛液の膜を張った内壁を軽く押し、ぐちゅと滑っては往復を繰り返す。
激しくはない、けれど小刻みな律動のたびに、私は背を反らして喘ぎ続けていた。
ついと伸びた指先が揺れる胸先を捕え、しばらく乳頭と戯れてから、緩くそれを摘む。
そのあとにお腹の中央線に沿って、ゆっくりと下降する。
「所々肌、赤くなっちゃったけど、綺麗だよ。 ため息出そうなぐらい」
薄目をあけ、また目を閉じ、私は過ぎた快感に上半身をくねらせて悶えるしかない。
腰から下は彼に支配されているから。
下腹に添えられた手のひらから温かい感触が伝わってきて、中にいる彼の熱を探すように、それが肌を撫で続けた。
「アッ、琥、あンッ、ゃあっ‥‥」
それが止まり、一点を中心に、揃えた指先が弧を描く。
そこへコツン、とぶつけられた尖端が内側から彼に応えた。
「お腹の上からでも分かるね。 ここ。 真弥のいいところ」
反り返った亀頭が容赦なく内壁を擦り上げる。
軽く圧された外側との間に、逃げ場のない快感が溜まっていく。
「そ、れっ……ダメ…っ!」
ジクジクとした熱が躰を駆け抜けては通り過ぎ、段々と大きくなる感覚にぎゅっと目を閉じて、思わず首を横に振った。
「駄目じゃないよ。 気持ちいいって、体が言ってる。 真弥のことならなんだって分かるって、おれは最初に言ったでしょ? でもさ」
つま先がピンと伸び、反射的に自らの腰が高くあがる。
細く途中で消え入りそうな声を振り絞ったと同時に、自分の体が硬ばった。
緊張と弛緩を繰り返し、絶頂直前の閃光に目が眩む。