第31章 役立たずな言葉と饒舌な体*
セックスが全てなんて思ってない。
けれども………最愛の人との行為は、まるで大地に降る雨のように、しっとりと豊潤に私を満たしていく。
今はただ抱き合っていたかった。
「ん……で、でもまだ…その、大丈夫?」
漏れたのが達したとイコールなのかが曖昧で、そんなことを彼に聞くと、額から外した手を私の背中に回し、悪戯っぽく目を細めて見詰めてくる。
「…っ……あ」
一応の心配はすれども、それに限っては杞憂らしい。
ぐうっと膨らんだ性器が私の中で隙間無く、それを主張していた。
「もちろん──────……」
その体からにじみ出る想いは、雲間から射し込む光のように、ゆく道を照らす。
嵐に投げ出された小舟のようにさ迷っていた心を。
繋ぐ指で、触れる肌で。
目を閉じていた彼の髪を梳き、応える微笑みが、行く着くところを指し示す。
そう思わせてくれるのは、私には彼だけ。
「………雨の匂いがする。 さっきまで月が出てたのに」
ふと窓辺に視線を移して琥牙がそう呟く。
Make love なんて言葉、誰が考えたんだろう。
たかが動物だってする行為に大層な。
そんな風に思ってたことがあった。
でもいつもそこには、かけがえのない相手がいる。
仰向けになった私の両腰に手を回し、膝をついた彼の切っ先が私の内部を扱きあげる。