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オオカミ少年とおねえさん

第31章 役立たずな言葉と饒舌な体*



青白い月明かりがベッドシーツを染めている。

そこに横たえた私の体の下に腕を入れ、琥牙がうつ伏せに抱き締める。
そしていつものように肌を滑る手のひらと器用な指先。

うなじや肩に添えられる口付けの雨が私を潤していく。

すっかりと泣き止んだ私の吐息が温まり、私たちを包む空気も甘く色付く頃にまた体を重ねる。

顎を包んでくる手のひらに横を向き、唇を合わせた。
不純物を洗い流すように、何度も口付けを交わしては、愛し合う。


私を寝かせた背後から、そっと優しく動いてる。
浅いところの内側を、まるで撫でるように移動して。
迎え入れた粘膜が波立ち、擦れながら離れ、痺れそうな跡を残してく。

ゆっくりと引き抜かれ、飽くことなく求めてくる。 送り込まれた欲望が私と混ざり合うたびに、溢れて、シーツをつかむ私の指に力がこもる。


「また、濡れてきたけど。 痛くない……?」

「はぁ……あ……痛いのも、嬉しい、よ」


キスの合間にそう言うと、なんだか妙な顔をされたので不思議に思った。


「………真弥がそんな趣味って初耳……ええとごめん、おれは女性をぶったりそういうのはあんまり。 さっきも逆に後味」

「違うから。 SM趣味じゃないから」


彼にその知識があるのは意外だった。

それじゃ、なんなの。 首を傾げその理由を急かされて、目を逸らし気味に言う。


「あなたにされることなら何だって感じちゃうってこと」


って、言わせないでよ恥ずかしい。

とその瞬間、ジュンってそこが濡れたのが分かった。


「…………っ」
「えっ?」


その熱さにちょっと驚いて、視線を彼に移すと私の頭の反対側の脇に肘をついて、額の辺りを手で抑えている。


「………最中に止めて、そういうの。 今少し漏れた」


この人って、自分は差し置いて言葉責めに弱いのね?


「うーん……でも、おれもそうかも知れない」

「そうなの?」


返事の代わりに重ねた手に指を入れ、彼が口の端をあげて苦笑した。



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