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オオカミ少年とおねえさん

第31章 役立たずな言葉と饒舌な体*



まあ、二ノ宮くんの足なら会社帰りに車で一時間の道場にも楽勝で通えるんだろうけど、そのバイタリティが凄いよね。


「あのさ…保くん。 何度も言ってるけど」


道中にある崎陽軒の薄箱を受け取りつつ、口を開きかける琥牙に二ノ宮くんが被せる。


「こっちも何度も言いますけど、いい加減相手してくれたら嬉しいんですけどね? 獣体で適わないのは分かってますけど、人にも何百年と培ってきた技術があるんですよ」


浩二の道場に通い始めた二ノ宮くん。

彼にとってそれは開眼モノだったらしい。
最近早々に師範助手の称号を得て、そのせいで琥牙に挑みたくて堪らないっぽい。


私が今まで見てきた彼ら。

狼というものは、基本的には好戦的な性格だ。
マウントなんて言葉も、元は動物のそんな行動から派生したわけで。

琥牙だって基本的に穏やかだけど独占欲は強いしね。


「本来のやり方じゃなくっても、今なら雪牙辺りにしたらいいと思うんだけど……いいよ。 その代わり、もう少し訪問を控えてくれたら有難いかな」


勿論!! そう目を輝かせて腰を90度に曲げる二ノ宮くん。
遠回しにお邪魔だという所は彼にとってどうでもいいらしい。


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