第30章 雄として男として
特に助け舟を出すとかそういう意図はないらしい。
多分二ノ宮くんは、会う人会う人に興味を持ってしまう性質なんだろう。
テーブルに腕をついて体を隣の浩二の方向に傾ける。
「浩二くん、そんだけ背あったらやっぱ成長期の時は寝てる時に骨ギシギシ鳴ったりするもん?」
「あ? んー…イヤそりゃ無いわ。 俺高校でも10センチ伸びてるし。 そういや、美緒らなんかもデカくなっただろ?」
「だね。 びっくりしたよ。 今高一だよね、私よりおっきくなるのかな?」
そう言えば、私も昔、あの頃はあれ位だったっけ。
学生時代を懐かしく思いつつ口に出すと、浩二が急に父親の様な口調でやや切れ長の目を細める。
「まだまだ中身はガキだけどな。 んでもさ、あん時の週末、予定キャンセルっつって美緒に言ったら、真弥は怪我したり厄介事抱えてる時に、会うの避ける妙な癖あるから心配だって言い出して。 それ言われたら、盆にさ、俺らも変な別れ方してただろ? んで、とりあえず様子見に行かせたんだよ」
今までになく幸せそうで、良かったよ! なんつってさ。 東京観光楽しかったって帰ってきたわ。
二ノ宮の叔父さんが送ってくれたんだってな。 ありがとな。そう礼儀正しくお礼を言う。
気を使ってくれた妹にはとても申し訳ないけど、あの翌日は私の方が出掛けられる状態では無かった。
……詳細は公言できるものではない。
その件では、すっかり二ノ宮くんたちにお世話になったと思う。