第29章 午後11時。愛欲の奴隷*
それなのに、
『私』に応えて高まる。
『私』に合わせて抑制される。
人の好意だけが持ってるなんて、それは欺瞞なもののような気がした。
あるいはそんな言葉にすり替えて、羞恥や恐れ、そんなものも人は隠してるのかもしれない。
だって目の前の雌を蕩けさせる術を、とても上手に彼は身に付けているもの。
「あァっ、いっ…」
包まれていた包皮と一緒に、根元の辺りで小さな振動を加えられて、先にそれで達しそうになる私をゆるりと制された。
それと同じく、奥を一定のリズムでノックされる動きと共に翻弄されていく。
私という個の、全部を預けて幾重の壁を越えて、剥き出しにされる官能。
「あっ…う……そこなんか…っ! でちゃ…あっぁああッ」
膣奥で尖端が絡まって、指で軽く押されては、屹立した肉棒のくびれが内部を抉って。
深い結合のせいで大きく開かれている私の脚先はピンと硬直したまま。
ねっとりとした愛撫が繊細な粘膜の、両方をギリギリのところで焦らし続ける。
「ぁ…はぁっ!……あぁっ!…ッ!…んんっ!…っく!…っんぁっ」
全身を震わせながら途切れ途切れに喘いだ直後に、熱い疼きが一気に放出される感覚は、もうどこをどうされているのか分からない。
「…っんぅっ!…っはあ……はぁあっ」
ただただ真っ白になる衝撃と、次の瞬間自分の肉体……肌が、器官が、血潮が全てどろりと溶け落ちていくのを感じた。