• テキストサイズ

オオカミ少年とおねえさん

第26章 狼の里にて 後編*



彼女たちのさ迷う魂。
この人が簡単に、複数とはいえ女性に殺されたとは思えない。
それは多分、供牙様とその理由は同じ。

よし乃さんを想い続けていた牙汪。
それに自分を重ねて、それで彼女たちの気が済むのなら。 そう思ったのかも知れない。


「こないだ里で暴れたり私にこんな事をしたのは、もう終わらせようとしてた、琥牙の執着を煽って、生かせるため……?」


無言になってしまった牙汪を見詰めながら、途切れ途切れに話しつつ、バラバラだった今までの出来事を頭の中で整理していく。


「貴方がお義母…朱梨様から持たされたあの薬瓶、あれは以前毒薬が入ってたものと同じ。 あと、私に彼の記憶を見せてくれたのは、貴方と供牙様の力? 今晩の前に、三人で話したんだね?」


私の目の前で、なんとなく決まりが悪そうに頭を掻いている、今の牙汪はどこか琥牙の雰囲気に少し似ている。


「オレは大した事はしてねえ。 そういやあのババア、薬には少し幻覚剤も入ってるっていってたな。 そういう間接的な役割もあったんだろ。 フン………ボーッとしてそうで、変なとこで鋭いのな。 そういや、よし乃もちょっとそんなだっけか」


だって、その時はそんなものかなあなんて思っちゃったけど、あんな服が和合の証とか言われても。



/ 506ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp