第26章 狼の里にて 後編*
そうやって、自分の内のなにかを諦めると体も心も毒気が抜けたみたいに楽になった。
自分の体がふわりと浮いて、背中と膝の下を支えて抱いた彼が私に顔を寄せてきた。
こんな風に私に触れてくるのは一人しかいない。
お互いの唇の、薄い皮膚が触れて、そっとそれを重ねる。
「あんたは……結局オレを選んだんだ」
角度を変えると、触れる部分が大きくなって、深くなった。
……ちゅ…と、とても微かな音が、私の耳をくすぐる。
「ふ………」
彼が抱いてる私の肩。
それを包んでいる手のひらに力がこもって痛い位で、彼は離したくないのだと思った。
生まれてこれまでした中で、一番優しいキスだった。
「なあ……よし乃。 お前はいっつも蔑んだ目でオレをみてたよな? けど、お前が庇ってた、オレが犯して泣き喚いてたガキも、最後はこんな風に堕ちたんだぜ?」
琥牙が何を言ってるのかよく分からない。
私を一人用のソファに座らせて、そのまま覆い被さりながらまた、ぐちゅっと指を押し込んできた。
「はあっ……深ぁ…い……」
浅く腰を掛けて、せり出している私の脚の間にひざまずいて体を入れられてるせいで、根元まで入ってるのが、ここからでも見える。
その中指の先を曲げたり伸ばしたり、その存在を誇示させながら、もう片方の指が膣口をくぱあと開く。
「おいおい、糸引いてんぞ?」
秘裂を開閉させられている自分のそこは、赤い肉の貝殻が口を開けたり閉じたりしている様に似ている。
両側を指できゅっと閉じられると、腟内にいる彼の手を食べてるみたいだ。
花芽が自分の肉の間に埋もれてその芯ごと、きつく包まれて圧迫される。
それに反し、だらしなく口を開きっぱなしの私は、はあはあと喘ぎながら、時折ビクビクと膝を揺らしてその愛撫を受けていた。