第26章 狼の里にて 後編*
きゅうっと胸を上に引っ張られ、ぱっと離れたかと思うとまたきつく摘まれる。
「…ッやっ止め……てっ…、ン離し」
膨らんで上を向いた胸の先は赤く色付き、次に受ける刺激を待っていた。
そして躊躇無くそうされる。
たっぷりと塗られた液体はなかなか乾かず、中心の芯の、両側を挟んでくりくりと捏ねる。
ただ単純な、動物の交尾みたいなものを想像してただけに、色んなものを押しのけて迫ってくる快感に混乱していた。
「……………っ、ッ」
そうやって胸を触られているだけで膝から下がガクガクと震える。
立ち続けるために腿を合わせると今度は秘部がかあっと熱くなって。
……熱い上に、動くたびに軽く擦れるそこが、なにか細かい虫みたいなものが這い回ってるみたいにムズムズした。
これだけでも、強制的に堕とされそうな感覚だった。
「あっ……っう、も…やめ……」
背後で、硬く硬く起立した雄の塊がお尻の隙間に当たる。
嫌悪感を先に押し出そうとするも、途切れる思考に入り込んでくるのは妙な高揚を伴った焦燥感。
ああ……琥牙のだ。
一旦そう考えてしまうと、呼吸まで早くなり堪らなくなった。
「にしても、反応良すぎだろ……元々好きなのか。 下の方も雌犬みたいに匂う。 触って欲しいか」
触って─────────
その言葉だけが脳内を反芻する。
……触って、欲しい。
手で覆っている口から、指の隙間からどうしても吐息が洩れた。
立ち続けるのがもう辛くって体を折ろうとすると、また胸の先を上に引っ張られて無理やりに起こされ、体をくねらせて息を吐き続ける。
「欲しいんだろ?」
あからさまにそう聞かれて、咄嗟に左右に首を振った。
けれど私の体は違うと言う。
背中に当たる堅い胸も、その位置も、琥牙の……彼のもの。