第24章 狼少年を追え*
やんわりと手を引っ込めようとした琥牙だったが、逆にそれをぎゅっと握られ、ついでにもう片手でそっと包まれた。
「真弥は確かに可愛いが、それは私にとってお前も同様だ。 ……それから、以前に会った時から、実は気になっていた」
いつもの涼やかな供牙様とは違い、絡み付くような視線に違和感を感じる。
なんだか供牙様のキャラが、おかしい。
「はあ……以前って。 あの、雪牙の件?」
ピンと来た。
「あの弟君も美しい。 だが流石に幼過ぎる」
うわっ、混ざってるってこういう事か!
「供牙様!! 二ノ宮さん! それ二ノ宮叔父さん入ってるから!」
思わずテーブルにスライディングし、その拍子に供牙様がハッとした顔で握っていた琥牙の手を外す。
「……済まぬ。 夜まで朱璃が休んでるのでな。 元の男のこれは……そういう事か。 男色とは厄介な」
片手を額に当て、ハアと供牙様が俯く。
その間琥牙は黙って椅子を更に向こう側に引き、供牙様と距離を取っていた。
「母さんの仕業か。 あの人結構無茶するから。 大変だね……そっちも」
若干同情のこもった目で供牙様を見ると彼は平気だ、と言いたげに片手を軽くあげて手のひらを振る。
「面目無い。 しかしお前の方が辛かろう」
改めて居住まいをただし、普段通りに戻った供牙様がもの柔らかに琥牙に声をかけた。
「……そうだね。 これでハッキリ分かった。 でも、あんたはおれに勝てる?」
「おそらく。 護る事さえ恐れているお前よりはな」
一見和やかにお茶を飲んでいるとしか見えないが、彼らがとても物騒な話をしているのは分かる。
だけど口を挟めなかった。