第24章 狼少年を追え*
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私たち三人はそのあと、そこから近くにあるビジネス街の落ち着いた雰囲気の喫茶店に入った。
……これまたなんとなく、供牙様を安いチェーンのお店などに連れて行くのは気が引けたからだった。
私の隣に供牙様が座り、琥牙が普通に向かい側に座したのを若干不思議に思った。
琥牙が開いた膝の間で手を合わせ、供牙様に意識を注いでいる。
「見掛けは確かに、こないだの二ノ宮って人なんだけど……違うよね? 全然」
ゆったりと深く腰掛けている供牙様は腕を組み、同じく琥牙から視線を逸らさない。
「お前と少しばかり似たようなものだろう。 というより、琥牙。 若干混じっているな」
疑問を投げてくる琥牙を全て受け止めるような、突き放すような、そんな供牙様の言動。
初めて会ったようで、ずっと知ってるようで。
なんとなく、それの妙な感覚は私にも理解できた。
だけど、混じって……って。
なんの事?
「……おれの『中に居る奴』の事、知ってるの?」
「お前よりは、という程度だ」
琥牙は牙汪さんの事を知っている?
そしてその時に気付いたが、琥牙の瞳の色が薄く、髪も少し陽に透けてるみたいだった。
シェードのかかった広い窓ガラスから漏れる光のせいだけではなく。
「真弥の事守ってくれてるのは、あんたなんだね。 なんだろ? どっかで会ったような気もする」
「必要だからだろう。 それに………そうだな。 こうやって会えて嬉しく思う」
琥牙が訝しげな顔をした。
テーブルの上にあった琥牙の手をそっと取り、供牙様が彼を見詰める。
「聞きしに勝る、とても美しい少年だな」
「………………」
無言の、琥牙と私。
琥牙がこれなに? とでも言いたげな不穏な目で私を見てきて、私が知らない、と口をパクパクさせながら首を横に振る。
「えっと………」