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オオカミ少年とおねえさん

第24章 狼少年を追え*



だけど私だって、高遠さんとどうなりたいなんて全く考えてなどいなく、ただ琥牙を考えての行動だった。


「……ごめんなさい。 でもあの、どうしても会いたくって。 話も。 私お盆に」

「違う。 なにしてた?」


それを遮って質問を投げかけてくると同時に、こちらに向かって彼が手を伸ばす。


「え────なっ……」


衣服の襟元をいきなり掴まれたかと思うと、引き寄せられたその際に、身に付けていたネックレスがブツ、と千切れた音がした。
窒息しそうになって目を見張った。

すぐ近くに顔を寄せている彼がそんな私をじっと見ている。


「男の匂いがする。 ……あいつじゃない」


襟の生地が首の後ろの肌に食い込んだ。


「…苦…し、……」

「真弥が嫌がる様なことなら、今日みたいに分かるんだよね」

「…………」


目を開いたままで口を押し付けてくる彼のそれは、持ってる全部を使って私の全てを探られるような感じだった。

その視線に耐えられなくってこちらが目を伏せると、唇の隙間を舌が割って、顔を背けようとする前に頭の後ろに手を当ててきた。


『なにしてた?』


供牙様の事?
あれはそんなんじゃない。


肩や腰に回された腕の力が強過ぎる。


……こんな時に、いきなり何?


逃げる舌を探って、絡めてくる。
何度かそうされ、諦めて脱力すると柔らかく吸ってきた。


それに痺れそうになって、まるで吸い寄せられるように彼にしがみついて応えてる私もどうかしてる。


「……他の男に触られて悦んでた?」


今度はそう冷たく言って、私を見据えたまま胸を強く握られる。
痛みに顔をしかめて、まるでバラバラなその言動に、同時にはっとした。


───────もしかして


ドンッ、と強く彼の胸を叩く。
そしたらやっと彼が体を離してくれ、反射的にそこから後ずさった。


……一瞬、牙汪かと思った。

焦げ茶色の前髪が伸びていて、その隙間から覗いている瞳を私から逸らした。

いつも通りの彼の外観だ。

そういえば、会ってから彼の表情が殆ど変わってない事に気付いた。



痴話喧嘩なんてしてる場合じゃない。
けれど誤解されたままじゃ話が出来ない。


「琥牙違う。 話を聞いて」


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