第24章 狼少年を追え*
それにしても。
こないだからなんだろう?
帰ってからこっち、伯斗さんはやけにそっち方向の話を振ってくる。
「それから、人間の男性器には骨がありませんが、殆どの動物には陰茎骨という骨格があります」
まだ続けるか。
「人狼でもその名残がありまして。 ですから、その点でも慣れないうちは痛みがあるものだと朱璃様も仰っておりました」
「骨、ですか………」
若いからかと思ってたら、だからあんなに硬いのか。
そう言われてみると。
最初は仕方ないにしても一度終わったあとはこう、お腹にずしんとくるというか。
それでもう無理って感じにもなる。
「琥牙様はまだお若いですから、真弥どのがリードしてあげるのもよろしいかと思いますよ」
「そうなんですよね……そうは思うんですけど」
そして供牙様みたいに優しくしてくれたらもう少し頑張………
って、私もなにを考えて。
「でも、なんか気付いたら、いっつも押されちゃうんですよねえ、私」
そんな話はさて置き、次に向こうに行く時はもう少し筋肉痛がマシになってればいいのだけど。
ようやくノルマをこなし、お腹の筋肉がつりそうになりつつ私はフローリングに仰向けになってばてていた。
そんな私を満足気に一瞥し、バルコニーの窓ごしの夜に視線を移した伯斗さんが呟いた。
「下弦の弓張月。……満月まではあと二週間弱ですね」