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オオカミ少年とおねえさん

第23章 狼の里にて 前編*




「そうなの?」


そういうのは大体身長に比例するかと思っていた。


「うーん……まあねえ、そういうのもあって、人間に興味無くなっちゃったんだよね。 割と今もトラウマ」

「……なるほど。 でもやってみないと分かんないって、それもまた大変だよねえ」


体の相性ってやつよね。

綺麗事じゃなくって、無理なものは無理だし。

必ずしも大は小を兼ねるって訳でもないのには私も同意する。
電車の中で、ちょうど鼻先が禿げたおじさんの頭の辺りに来るとかね。


「そうそう、昔好きな子が居てさ、いざ」


「………じゃ、ないよ!」


今は心からどうでもいいよ、他人が巨根だろうが異常性癖だろうがそうなった過程なんて!

いきなり逆キレ気味にツッコミを入れる私に、怯えた表情で口を閉じる二宮くんに構わず、伯斗さんに再度訊き返す。


「伯斗さん、私あそこで倒れてたんですか?」

「そうですよ。 急に走って行ったと思ったら。 でももう昼になる頃ですから、そろそろ」


そう彼が言い終わるか終わらない内に立ち上がった。

伯斗さん曰く、朱璃様は昔の話に詳しいらしい。
獣体の琥牙に酷似していたあの男。

あのエロ狼の事が、何か分かるかもしれない。


「行きましょう、朱璃様の所!」


怪我は痛いけどかすり傷だ。 顔は無事みたいだし。

こんなの前は日常茶飯事だったし気にしない。


「真弥どの、真弥どの。 首の肉は痛いです。 私は猫じゃないんですから」

「おあいこです!」


そんな抗議をしてくる伯斗さんのふさふさの首を半ば引き摺る勢いで、私は早足で朱璃様の元へ向かった。



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