第23章 狼の里にて 前編*
────────────体が痛い
頭も、ずきずきする。
ぼんやりとした視界の中に、花木の根っこで出来た里の天井が見えた。
もしや私、寝てたの?
しばらく動かずにぼーっとして、直近の記憶をたぐり寄せる。
なんかこう、とにかく男女が激しく絡み合ってた。
「……どんだけ、私って欲求不満なの?」
そんな独り言を呟くと、私を上から覗き込むように視界に大きく割って入っきたのは二ノ宮叔父と甥。
ん? という表情をして二人が顔を見合わせる。
「そう言われても……保は狼専門だしなあ」
「そういう叔父さんも、18歳以下の男子しか興味無いでしょー☆」
「…………」
なにこの人たち。
「真弥どの、ようやくお目覚めですか」
「伯斗さん! ………っ!!!」
ガバッとそこから跳ね起きた途端に、体中に激痛が走った。
頭とか、肘とか脚とか。
口もきけずにプルプルして堪えていると、私が起き上がってる布団の周りで三人が話しを始める。
「いや、沢の端で倒れられていたのを見付けて驚きましたよ……」
「伯斗さんが桜井さんの事、口で咥えたまま階段降りてたの見掛けてさ。 なんかめっちゃガンガン頭打ってたけど大丈夫?」
「見かねて保が替わって、二人で軽く応急処置はしておいたつもりだが」
どうやら私は雑に運ばれたらしい。
それと共に、当時の記憶が段々と蘇ってきた。
「礼には及びません。 ただ真弥どの。 意外に容量があるものですから、少しばかり途中の木に引っかかったりして難儀しました」
「分かるー、かさばるんだよね。 無駄にでかいと」
容量って言うな。
デカいのは自覚してるけどデブじゃないよ。
「保はチビだけどムスコはでかいからな」
二ノ宮叔父がうんうん頷いて言う。
そっちもかさばるんだ。