第22章 郷曲におもむく(身長)
「凄い、ですね……」
「地上にあった頃はもう少し栄えていたのですがね。 先々代から私たちは地で生活する事を捨てたのですよ」
「最も始祖の頃は、村までの大きさがあったらしい」
そう続けて説明してくれる間、ずっと上を見上げてひたすら感心していた。
「へえ……」
「真弥どの」
呼ばれて慌てて伯斗さんに向き直り、早速彼女に挨拶をしに行こうとして訊ねる。
「ああ、すみません。 つい、見惚れてしまって。 それであの、琥牙のお母様はどちらに?」
「私だよ」
声はすれども……?
一度きょろきょろと左右を見渡してから首を傾げ、また正面を見てから視線を下げると、人の女性(推定140)が私の事を見上げていた。
「……かっ」
「真弥どの、真弥どの」
伯斗さんが私が言いそうになった言葉を察し、先を読んで前脚をあげて牽制してくれた。
つい、可愛いって叫ぶとこだった。
ありがとう、伯斗さん。
「こ、こんばんは」
琥牙のお母様。
まず、年齢不詳。
小柄な体と、広い額に黒目がちの瞳。 髪をトップで纏めているためまた更に小顔に見える。
朴訥としたストンとした形の服装がまた、失礼ながらあの蓮の葉を傘にしたアイヌのコロボックルとか、そういう言葉を連想させる。
「話には聞いてたけど大きな女だねえ。 息子たちが随分と世話になっていたようだなあ。 まずは礼を言うよ」
正直、イメージ的に大柄で女傑な感じだった。
「いいえこちらこそ、お世話になってます」
そう言って深く腰を折って頭を下げるも、上からのお辞儀って、どうなんだろう。
もう一度中腰でするべきかどうしようか。
迷ってる私に若干つり目気味の目を細め、その人がこちらに向かってにっと微笑んだ。