第22章 郷曲におもむく(身長)
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『お前の実家は里の近くにあろう?』
そんな供牙様の言葉を頼りに一応、里に一等近いであろう生家。 父方の祖父の家に寄ってみた。
二年振りにそこを訪問した祖母(162)は驚いた顔で私を迎えた。
「真弥もいきなり来て、なんね。 うちの先祖に繋がるものなんて、そんなものあったかねえ?」
祖父母の所へは、便りがないのは元気な証拠、という訳でもないがそれにかこつけて、以前よりはマメに訪問しなくなっていた。
「蔵ん中でも屋根裏でも好きに探してみりゃいい。 ここの家が旧い土地なのは確かだからな」
祖父(178)の言葉に礼をいい、まずは蔵へと足を運ぶ。
今時珍しい土蔵もあるし、ここがそうかもしれないと目星を付けてはみたのけど、無駄足なのかもしれない、そんな懐疑心も否めない。
広い蔵内に昔の農具や家具、絵画や怪しげな壺などのガラクタが山積みになっているのを見て、まずは浩二がげんなりとした顔で私を見た。
「真弥、こん中から何を探せって?」
「いいから協力して! 一生恩に着るから」
そうして弟にも頼み込み、日が暮れる前に私が見つけ出したものは二つ。
うちの家系図と名の入った古い小箱だ。
くすんだ色の掛け軸箱に丸められて入っていた家系図は茶色く、すでに所々の文字が欠けていた。
昭和、大正、明治、とそれを遡っていく。
だがそこの辺りで系図は途切れていた。
「むう、ここまでしかないのかなあ?」
「それより前だったら、うちの墓の寺に残ってる過去帳とか、そういうレベルじゃないの?」
うちの墓の場所は随分と昔から変わっていないと聞く。
けれども土蔵の窓の外に目をやるともう日が大分傾いていて、私はうーんと腕を組んだ。
「そこまでの時間はないんだよねえ」