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オオカミ少年とおねえさん

第18章 避ければ当たる面倒事



その視線は私を超えて背後に向かっている。


「…………?」

「桜井さんってナントカホイホイみたいだな」


意味が分からなくって私も振り返ると、こんな所にまで迎えに来てくれてる琥牙がいた。


「えっ……と」


特に変な状況では無いと思う。
さっき少し肩を触られた位で。
けれど琥牙は二ノ宮くんを見ている。

そして二ノ宮くんはそれ以上に彼から視線を外さない。
奇妙なものを感じた。

なんだろう? 二ノ宮くんの、まるで値踏みでもするみたいな……
そこではっと思い当たった。

もしや彼はソッチ系の人なのかもしれない、と。
言われてみれば、外見やノリがちょっとそれっぽい。


「こちらは二ノ宮くん。 私の彼氏、なんだけど迎えに来てくれたの?」

「ん……うん」


双方に目を配らせながら琥牙の元に走り寄り、腕を取る私に彼が相槌を打つ間も、二ノ宮くんは琥牙を見てる。


「じゃ! 私たちはここで」

「………どしゃ降りになるから気を付けてね」

「ありがとうっ!!」


わざとらしく明るく言って早々にその場を離れる。
まだ背後から視線を感じる。
やだ怖い。
私の琥牙を汚さないで欲しい。


「あの店に入ろう」

「え?」

「彼の言うとおり傘じゃ役に立たないから。 30分位」


ぱっと空を見上げると確かに。
ビルの隙間からでも暗い色の雲が急激にこちらに向かって来てるのが見て取れた。
何となく不思議に思いながらも、彼の後について行く。

オフィス街の中にある古いカフェ。
急で激しい夕立ちに、ガラス越しに人々が慌てて駆けたり雨やどりする様子が見える。

彼らの予想通り、横殴りにザアザア降ってるそれを眺めつつ、取り敢えずはマックの不味いコーヒーを飲まずに済んだとほっとした。


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