第9章 女バレしました
『だからさ…蓮琉の我儘なら聞いてやりてぇし、お前らが言うこの世界が"まやかし"でも、蓮琉にとったら"本物"なんだよ。クソみてぇな世界だけどな。誰も死なねぇ、苦しまねぇ、辛くねぇ世界。だからさ…』
──こんなクソみてぇな世界を否定したいのは分かるが、蓮琉の前では否定しないでくれるか?──
それは小さな頼みだった
港で拾った時も、呂駒呂が拾った時もは、蓮琉の為だけに時間を割いた
そしてDJの腕もラッパーの腕も自己流で磨き上げてきた
まだ20歳という少女でも女性でもない中途半端な歳
背も低く、けれど真っ直ぐに相手を見る瞳
それが何故か自分達よりも大きく、逞しく見えた