第1章 リヴァイ兵長
「……り、リヴァイ兵、長ですか…?」
「……何をボケたことを言っている」
今、人類最強の男が、
自分の好きな人が、目の前にいる。
その事実がナナの体温を再び最大値にすることはとても簡単なことだった。
「リリリ、リヴァイ兵長!?どうしてこんなところに!!」
「…うるせぇ、夜中だぞ…」
「…あ、失礼しました……」
どうしようどうしようどうしよう!
ナナは顔を真っ赤にさせて再び唇を強く噛んだ。
緊張のあまり、喉がからからする。
するとリヴァイはそんなナナを見下ろすと、「行くぞ」と行って来た方向に踵を返した。
その際手を強く握られて半ば引きずられるようにナナは前を歩くリヴァイ兵長についていった。
本当に意味が分からない。
緊張でどうにかなりそうだ。
ナナは持っていたボトルに目を向けた。
喉が乾いていく衝動が全くおさまらず、ナナはそのボトルの蓋を開け、一気に流し込んだ。
その様子をリヴァイが尻目で流し見ていた事を、ナナは知らない。