第2章 エレン
一行に顔をあげようとしないエレンに焦り、ナナはエレンの腕の中から抜け出そうと必死に逞しい、筋肉がしっかりついた肩を精一杯押した。
が、やはり男の力に勝てるはずもない。
押した肩は微動だにしないどころか、はねかえってそのままナナの身体に吸い寄せられるようにして密着した。
さらに壁に置かれていた腕は背中に回っていて、ナナは抱き締められるような体勢になってしまった。
突然のことに肩がびくりと揺れる。
なんなんだ。
いったい。
どうしたらいいのかわからず、中途半端に抵抗した形のまま固まっている手の行き場がわからない。
しかしなんとか抜け出そうと身体をよじるも背中に回された手に力が加えられ、さらにきつく抱き締められ、緊張と羞恥で固まってしまう。
そんなことを繰り返してるうちにエレンが突発にナナの耳元で呟いた。