第1章 リヴァイ兵長
「………っ!?」
そんなに聞き入るまでいろんな事を話したのかと思うとナナはあり得ない程羞恥が込み上げて来た。
この人は何をやっているんだと下唇をくっと噛んでうつ向いた。
ナナの短い猫毛が揺れる。
そんなナナに気づいたのかハンジは掴んでいたドアノブに力を込めるとギリギリ部屋の中にいるナナの服の袖を引っ張り完全に廊下に出すとドアノブを引いてドアを閉めた。
パタン、と決して大きくない音が静まりかえる廊下に響いた。
「……ハンジさん、…?」
ハンジの行動の意味が分からず、ナナは思わず顔を上げ、自分よりも幾分か高い場所にあるハンジの整った顔に目を向けた。
するとハンジは愉しそうに目を細めると意味ありげに口を開く。
「…リヴァイが待ってるよ!」
「…はい?」
「この廊下を出て、右に曲がったら外に出れるよね、そこで、多分…まあ腕組んで不機嫌そうに立ってるんじゃない?」
「………はい……??」
いまだにハンジの言っていることが理解できない。
やはりこの人は大事な部分を省略し過ぎだとナナは顔を歪ませた。
第一、何でリヴァイが、何を待っているのだというのだろうか。
とうとうこの人も巨人の実験のし過ぎで頭がおかしくなってしまったのだろうか。
ナナは絶えずに頭の上に?マークを浮かべているとハンジはにっこりと微笑んで、ナナにあるものを手渡した。