第2章 エレン
ちらりと目線をあげてエレンを見る。
しかし彼は先程と同じようにじっとナナを見つめていた。
罰が悪くなって目を逸らす。
はっきりいって、エレンの、意志の強そうな瞳は嫌いだ。
エレンと幼馴染みであるナナは昔から無邪気で明るく、行動力があるエレンと共に過ごしてきた。
いつも一緒だった。
一緒にいない日なんて無かった。
ナナにとってもエレンは大切な大切な、“友達”だった。
しかしエレンは友達以上の感情をナナに抱いていた。
高校生になった今でもそうだ。
エレンはずっと、小さな時からナナを思い続けてきた。
__________のに、
「…え、えと、…………エレン?」
何でも知ってると思っていた幼馴染みの見たこともないような表情に、ナナは息を飲んだ。
彼の瞳には怒りや嫉妬。
たぐいまれないナナに向けた感情が溢れていた。