第2章 エレン
そんなエレンに怖くなる。
「………………」
何も言葉を発しないエレンにナナはぎこちなさを覚え、最初に言われたことを思い出す。
そしてゆっくりと口を開いた。
「…………私、リヴァイ先輩のこと、……、好き、だよ…」
その瞬間エレンは壁に押し付けてある腕に力を込めた。
唇を強く噛んで、眉をこれでもかとつり上げる。
そして震える声で言った。
「……俺が、どんな思いで…………………っ」
さわさわとゆう風の音がナナの鼓膜をくすぐった。
そのせいでエレンの震えた声には気がつかない。
その瞬間、エレンが項垂れるようにうつ向いて、垂れ下がった柔らかい前髪がナナの頬を撫でた。
お互いの顔と顔の距離はゼロに等しい。
この状態でエレンが顔をあげていたらどうだろうか、
心臓がもたない。