第1章 リヴァイ兵長
冷たい夜風が二人の間を吹き抜けた。
不意に目があう。
その鋭利な眼差しに見つめられた時、ナナは咄嗟に目をそらしてしまった。
その時、繋がれていた手に力が籠ったのがわかった。
きゅ、と先程よりも力強く握られた手にびくりと肩を揺らす。
ナナは身体じゅうの神経が右手にあつまったのではないかと錯覚を起こしそうになる。
そんな時唐突にリヴァイが口を開いた。
「……お前、俺の事が好きなんだとな」
「えっ!?は、はいっ?!」
ナナはもう本当にこの場から逃げ出したかった。
まさかハンジがそこまでいっていたとは想像をしてもいなかったので一気にナナは顔を紅くした。
嫌な汗がとめどなく溢れてナナの頭を昇させた。
「…いやっ、あのぉ……えと、」
ぐいぐいとリヴァイから離れようとするも、繋がれていた手がそれを制する。
それに先程から頭がぐらぐらする。
熱に侵されたような感覚にナナは懸命に耐えていた。
いつの間にか手にオイルランプとボトルは握られていなくて何処に落としたんだと不安になった。
リヴァイはしどろもどろするナナの手を握っている腕に力を込めて勢いよく引き寄せた。
するとナナは簡単にリヴァイの腕の中に収まってしまう。
「り、リヴァイ兵ちょっ!?」
もう羞恥心やらなんやらで頭が爆発寸前だったナナの耳元にリヴァイは口を寄せた。