第1章 轟君
「昨日俺が言ったこと、覚えてるか?」
『えっと、どれ…?』
「覚悟、出来てるか?ってやつだ」
『覚えてるよ!もちろ…』
「あれ、抱かれる覚悟出来てるか、の覚悟だ」
食い気味にそう言われて、からだが固まってしまう。
だってまさか、焦凍がそんなこと言うなんて考えられなかったから。
やっぱり分かってなかったかと、私をしっかり抱き寄せる焦凍に抵抗なんてするわけもなく…
「で、覚悟、出来てるのか?」
『し、します…するから、その、1回お手洗い…!』
密着しすぎて大きな音を立てていた心臓も、焦凍の髪が耳を掠めて限界に達してしまう。
彼の腕が緩んだその隙に離れてトイレへと駆け込めば、背を扉に預け、熱くなった両頬を両手で確かめる。
なに、あれ…!?
一緒に寝れないかと期待していたけど、まさかそれ以上の事が起こるかもなんて!
心臓の音、絶対聞こえてたよね…
恥ずかしすぎる…
あ、いや、そんなことよりも、この後!どうしたら…
『しょう、と、カッコ良すぎるんだもん…』