第1章 轟君
『しょ、焦凍…?』
「なんだ?」
轟君の名前を口に出せば、顔中が熱くなって次の言葉を発せなくなってしまった。
初めて、呼んだ…!
考えてみれば、轟君…いや、焦凍はずっと私を下の名前で呼んでくれていたのに、私は苗字呼び。
いや、でも!
緊張するよーーー!
「こんなので、そんな顔赤くされても困るんだけどな」
『…え?きゃあっ』
敷き終わった布団の上で、強く引き寄せられたと思えば、胡座をかいた彼の上に私は乗っかっていて…
ち、近すぎる…!
いつもは少し見上げているのに、しょ、焦凍の顔が目の前に!
顔、見れないっ!
片腕を腰に回され、離れることも出来ずに、行き場の無い両腕を彼の胸に置く。
「顔、真っ赤だぞ」
『ち、近い…です…』
そう口を開けば、彼のもう片方の手が私の頬に添えられて無理矢理目を合わせられ、さらに顔に熱が集まる。
今日の焦凍、変…!