第7章 疑惑
ジ:「目、開けろ」
『嫌よ…』
私は、頑なに抵抗する。それが、ジンの怒りをさらに煽ったのは言うまでもない。
ジ:「ふざけるな。てめぇ、今の立場を誤解するな」
『誤解?誤解しているのは、貴方じゃない?』
私は意を決して目を開け、ジンを睨みつけた。
私の瞳(め)は、人を誘惑する。
一瞬でも、ジンの戦意を削いでやろうと思ったからだ。
ジ:「おいおい。そんな目で睨んでも無駄だ。てめぇのオッドアイを見ると、思い出す。1年前にも同じオッドアイの女を処刑したことを。てめぇも、同じ運命だ」
『どういうこと?』
「処刑」という言葉に、私は一瞬だけ体を震わせた。
私の脳裏に、レオナから送られた最後のメッセージが浮かぶ。
ジ:「そのままの意味だ」
『謂れもないって言っているでしょ?』
ジンは「理由を説明する必要もない」と、言わんばかりの視線を私に向けている。
私は、苦痛に負けじと頭をフル回転させる。
こんなとことで、簡単に処刑されるわけにはいかない。
そもそも、理由も知らずに処刑されるなんて、ただの犬死だ。
それに私は、「レオナの敵を取る」と心に決めている。
私は、ある事を思い出して、ジンを睨む目に力を込めながら言い放った。
『これは、RUMからの指示なの?』
ジ:「なんだと?」
私が口にした「RUM」の名前に、ジンは反応する。
(やっぱり…ジンの単独行動だ)
私は、確信を持って言葉を続ける。
『私が消えたら、問題になるんじゃないの?』
一瞬だけ私の言葉に怯んでみせたジンだったが、すぐに後頭部を掴む手に力を込め直す。