第7章 疑惑
ミア Side
『んぅ…』
私は手首に鈍い痛みを感じて、目を覚ました。
周囲を確認しようと、首を巡らせてみたが暗闇に沈んでいて何もわからない。
ただ、自身の体が拘束されている事は辛うじてわかった。
手首と、足首をそれぞれ縛られている感覚があったからだ。
(どこ、ここ?)
周囲をもっとよく確認しようと、私は上体を起こそうとした。
しかし、その動きを止めた。聞き覚えのある男の声が聞こえてきたからだ。
「起きたか」
『ジン!』
予想に反した男の声に、私は驚きの声をあげた。
ジ:「そんなに大きな声を出すな。鬱陶しい」
ジンは不機嫌さを露わにした声で、続ける。
ジ:「状況がわかってないみてぇだな」
『当たり前でしょ?貴方に拘束される謂れは無いはずよ』
ジ:「てめぇは、無いかもしれないが、俺にはあるんだよ」
辺りは暗いままで、ジンの姿を確認することができない。
しかし、彼の威圧するオーラが迫って来るのを私は感じて、私はキュッと目を瞑った。
ジ:「こっち向け!」
怒気をはらんだ声と共に、ジンに後頭部を掴まれる。
きっと、彼は狂気に満ちた目で、私を睨んでいるはずだ。
『いっ…たい…』
掴まれた場所に痛みが走る。私が苦痛を訴えても、ジンはその手を離さない。
私は頭をフル回転させて、この窮地を脱する方法を考える。
しかし痛みが酷すぎて、なかなか思考が回らない。