第5章 潜入 ★
キングサイズのベッドにゆっくりと私を下ろして、零さんはそのまま私の上に覆い被さる。
私は零さんの首へ腕を回して彼を引き寄せ、自らキスをした。それに応えるように、零さんは私の口内に舌を侵入させ、ゆっくりと歯列をなぞった。
『んぅ…』
その動きがあまりにも優雅で、私は焦れて先を求めるように吐息を漏らす。それを合図にお互いの口内を探り合うようなキスを私たちは続けた。時々、室内にも響くリップ音を立てながら。盗聴器の先にいる相手に聞かせるように。
降:「忘れてない?」
余す所なく私の口内を味わってから零さんは、上体を起こして私に問いかける。
『これのことかしら?』
私は、彼の視界にも入るようにロングカートの裾をめくり、右足首に取り付けた赤色のレッグホルスターを見せた。
零さんは、それを確認してレッグホルスターのベルトに手をかける。
降:「今は要らないだろ?」
『当分、要らないわ。貴方が居るから』
私は、零さんに含み笑いをする。それを見た彼はレッグホルスターを一気に外して、ベッドサイドにそれを置いた。
降:「そうだね」
そして私の耳元に唇を寄せて、私にだけ聞こえる声で囁く。
降:「覚悟ができたみたいだね」
その言葉に私は、小さく頷いて返した。その反応を合図に、零さんは私のブラウスの中へ手を差し入れて胸を揉みしだき始めた。