第5章 潜入 ★
ホテルに着くと、零さんはすぐに風見さんへ明日の潜入に関する情報をメールで連絡する。
その後すぐに、私に携帯画面を見せてきた。そこには、「組織が用意したホテルだから、用心して」と書かれていた。
私は零さんにだけ伝わるように、軽く頷いた。しかし、私はあることに気づいて零さんと同じように携帯に文字を打ち込んで、彼に見せる。「ドレスを忘れた」と。
それを読んだ零さんは、ゆっくりと私の耳元に口を寄せて、囁く。
降:「大丈夫。何でも揃っているから」
その言葉どおり、用意された部屋のクローゼットには背中が大きく開いた黒のホルターネックドレスが入っていた。
私はそれを確認した後、盗聴器が仕掛けられていないかを確認しようとした。すると、その動きを封じられた。零さんが、私を後ろから抱きすくめて来たからだ。
彼は、また耳元に口を寄せながら囁く。しかし、先ほどとは違うのは携帯画面を見せながら囁いていた。
そこには「ここも含めて5つ。言った通り、何でも揃っているだろ?」と書かれている。
どうやら私がドレスを確認している間に、零さんが盗聴器のチェックをしてくれていたようだ。
降:「せっかくベルモットが用意してくれたので、楽しもう?」
『そうね。何でも揃っていて、楽しめそう』
と私は答えて、首だけを零さんへ向けて彼の頬へキスをした。
私の返事に満足したのか、零さんは口角だけを上げて笑う。そして、私を横抱きにしてベッドへ運んでいった。