第1章 出会い
会議は滞りなく進み、黒田理事官から伝えられていた議題に移る。
僕の任務は、川崎 ミアが自ら「潜入する」と言うように、誘導すること。
会議室の後方に居ても、その美しさが目立つ彼女へ視線を向ける。
僕は彼女のプロ意識に賭けようと思い、平静を装いながら告げた。
降:「RUMはハニートラップができる女性を欲しているのですが、どなたかいらっしゃいますか?」
次の言葉を考えながら、会議室全体に目を向けた僕は驚いた。
全員がある1人の女性へ視線を送っている。
そう川崎 ミアへ。
その視線に気付いた彼女は、あっさりと自らが「潜入する」と力強く宣言した。
ただし、魅力的なオッドアイが一瞬だけ憂いを帯びていたのを僕は見逃さなかった。
「本当に良いのか?」と問おうとした僕の言葉は、赤井の一言で遮られる。
赤:「降谷くん、続けて」
その言葉で僕は彼女へ確認をすることが叶わず、
「まぁ、良い。後で確認しよう」と思いながら、会議を再開した。