第4章 告白
赤:「同じのを頼む」
空いたグラスを前へ押しやりながら追加を注文した赤井さんが、沈黙を破る。
赤:「それに君は魅きつけるから、余計に心配でもある」
『昨日も言われていましたね』
赤:「ああ。これも、自覚が無いようだな」
『そうですね…』
赤:「特に君の瞳(め)だよ」
『瞳(め)ですか?』
私は自分の瞳を思い出す。私の瞳は珍しい色の組み合わせのオッドアイだ。確かに物心ついた時から両親には、「ミアは、Fee(妖精)だね」と言われて来た。その理由は定かではないが、この瞳の色も少なからず影響していたのであろう。
赤:「その瞳に見つめられると、吸い込まれそうになるんだよ」
『だから、Feeと言われていたのか…あ!すみません』
両親との思い出で私が感じていたことと、赤井さんの言葉が合致したことで嬉しくなり、私は自然と口調が変わってしまった。その事に気づいた私は、慌てて謝罪を述べる。
赤:「その方がいいな」
『え?』
赤:「距離がなくて良い。その口調のほうが」
『そうですか…あ…そうかな?』
赤:「無理にとは、言わないがな」
『距離がない関係になっても?』
赤:「構わないさ。俺がこうして飲みに来ているのが、何よりの証拠だ」
そう言って赤井さんは、運ばれて来たグラスに口をつける。私は、その姿を横目に見ながら『私のことを特別だと思っていると期待しても良いのかな』と、心の中でつぶやいていた。