第4章 告白
『赤井さん!』
喫煙室に向かっている赤井さんに私は、声をかける。私の声に気づいた彼は、立ち止まりゆっくりと振り返った。
『いつも呼び止めて、すみません』
会議後に喫煙室に向かう彼を連日、呼び止めていることに気づいた私は最初に謝罪を述べる。
「いや、構わない。どうした?」
昨日とは打って変わって、優しく問いかけてくれる赤井さん。
『先程は、ありがとうございます』
会議後にお礼を伝えるのも2度目。それに気づいた私は、はっとした表情をする。しかし、それに気づいたのは私だけではなかったようだ。
「君にはいつも、感謝されているな」
『そうですね…』
赤井さんも同じことを思ってくれたことに嬉しさと恥ずかしさが込み上げた私は、俯いてしまいその先の言葉に詰まってしまった。それを察した赤井さんが声をかける。
「俺は、降谷くんも君も失いたくないんだ。君たちはそれぞれの母国だけでなく、この世界にとっても大事な人材だからな。それに、俺の個人的な想いもあるしな」
『え?』
「今は詳しく話せないが、命に変えても守ってやると思っている」
そう言って赤井さんは、立ち去ろうとした。
『赤井さん!今夜、飲みに行きませんか?ゆっくりとお話したいことがあって』
私は赤井さんの真摯な気持ちを知り、改めて決意を固めて彼を誘った。
「ああ、構わない。後で、連絡をくれ」
そう言って優しく笑った赤井さんは、私の頭を軽く撫でてから喫煙室へ消えていった。