第4章 告白
降:「以上が、現在わかっている情報と直近の計画です。何か、ご質問やご提案はありますか?」
赤:「一つ良いかな?」
会議中、最低限の発言しかしていなかった赤井さんが声を上げる。
降:「どうぞ」
赤:「護衛はつけなくて良いのか?」
降:「護衛ですか?」
赤:「ああ。潜入する2人が優秀なことは承知している上で、敢えて言わせてもらうが。今回の潜入は、組織だけでなく日本の裏社会をも相手にするのだろう?潜入するのは2人で構わないが、常に護衛をつけて置いた方が良いのでは?」
零さん、ひいては私も立てた上での赤井さんの発言に、私はまた新たに彼の魅力を発見したなと思う。
降:「裏社会対策については、組対の潜入捜査官の協力も得ています。最小限の人数で動きたいと考えているのですが、日本公安を信用できないですか?」
赤:「わかった…少し、こちらでも考えさせてくれ」
普段は穏やかな零さんの強い口調に、私は少し驚く。しかし、それも彼の責任感とプライドから来ていることなのだと思い直した。それを赤井さんも感じたのか、彼は一旦、折れる事を決めたようである。
シ:「はは。ミアは幸せ者だね。守ってくれるPrinzがいっぱいだ」
『ボス、冗談を!でも、ありがとう』
どこまで本気で言っているのか、わからないボスの言葉。しかし、私はボスの優しさを改めて感じ、感謝をそっと伝えた。どんな深刻な状況でもジョークを交えながら話し、相手に力を与えてくれるボスの存在が、これまでの私を支えてきたからだ。
『私って、どこまでも幸せなのだな』と呟き、私は意を決して会議室を出ていく赤井さんを追いかけた。